【男観察日記②】商社マン 山田さん(仮名・30)お別れ編
【山田さんとのお別れ】
彼はたまに嘘をつくことがあった。
例えば私のためにたばこをやめたと言いながら、鞄からは吸いかけのたばこが出てきた。
あるとき携帯の履歴に女性の名前があることに気づいた。
私の前に付き合っていた、例の元カノである。
聞けば就活の自己分析のために元カノに自分の性格について聞いたのだと言う。
我こそは就活という苦しい中、彼を支えたたった一人の女だと信じきっていた自信が音を立てて崩れた。
そこから元カノと頻繁に連絡を取り合っていたことが芋づる式に判明した。
目が覚めた瞬間だった。
そこからの身の振り方は、悩みに悩んだ。
そして彼に養ってもらおうという考えは捨て自立の道を選ぼうと、1年遅れの就活を始めた。
今の職につけたのはある意味彼のおかげかもしれない。
彼は別れるなら死ぬと言い、手首を切って写真を送ってきた。
その頃の私はもう泣かなくなっていた。それまでの私よりも少しだけ、強くなってしまったのである。