【男観察日記①】電車運転士 田中さん(仮名・31)現在編
【田中さんとの現在】
どこまでも優しい彼である。
2年後、次の彼との悲惨な別れを経験して心がボロボロになった私は彼に助けを求めると、彼はいつものように、懐かしい笑顔で
「この前神社ではなこの幸せを祈ってきたんだ。だからそんなひどい彼と別れられたんだね。よかったよ」
と言った。
私はその優しさに甘えたくなったが、その言葉以上の気持ちが彼にはもうないことは、わかった。
優しく懐かしい笑顔も、過去の思い出に向けられたものなのだ。
ちょうど1年前、彼が結婚したことを人伝に聞いた。
私はもはや連絡先もわからなくなっていた彼の連絡先を探し、「おめでとう」とだけ送った。
しばらく時間が経ってから「大切な人に心配をかけたくないから連絡してこないでくれ」という返信。
どこまでも誠実な、彼である。